🚨 急増する被害 – 前年同期比25倍の驚異的な増加
2024年度に入り、「分電盤(ブレーカー)の無料点検」を装った新たな詐欺が全国で急激に拡大しています。国民生活センターの最新統計によると、分電盤の点検商法に関する相談件数は2024年11月末時点で461件となり、2023年度同期(18件)と比べて約25倍という驚異的な増加を記録しています。
特に深刻なのは、契約当事者の約8割が70歳以上という事実です。高齢者の在宅時間の長さを狙った計画的な犯行であることが明らかになっています。
📊 地域別被害状況 – 東京都では前年度比2千倍超
全国的な被害状況
- 2023年度: 39件
- 2024年度: 1,289件(急増)
- 2025年9月末時点: 2,291件(さらに倍増)
東京都の深刻な状況
特に被害が集中している東京都では、**前年度比2,078.3%(約21倍)**という異常な増加率を記録:
- 2023年度:23件
- 2024年度:478件
四半期別の推移を見ると、被害の急激な拡大が顕著です:
- 2024年1~3月:3件
- 2024年4~6月:60件
- 2024年7~9月:123件
- 2025年4~6月:377件(前年同期の6倍以上)
🎯 巧妙化する詐欺の手口
1. 信頼性を装う初期接触
詐欺業者は以下の手法で被害者の信頼を得ようとします:
- 電力会社や委託会社を騙る:「○○電力会社から委託されて点検に伺いました」
- 法的義務があると偽る:「法律で15年ごとの交換が義務付けられています」
- 無料を強調:「今回だけ特別に無料で点検します」
2. 不安を煽る脅迫的な手法
点検後、業者は次のような恐怖心を煽る文言で契約を迫ります:
- 🔥 「このままでは漏電して火災になる」
- 💸 「漏電による火災は保険が下りない」
- ⚡ 「地震があれば確実に火災が発生する」
- 📅 「今すぐ交換しないと手遅れになる」
3. その場での即決を強要
- 長時間居座って契約を迫る
- 「今日だけの特別価格」と偽る
- 家族への相談時間を与えない
- 高額な契約(10万円~30万円程度)をその場で締結
💰 実際の被害事例
事例1:電力会社を騙った90代男性への被害
契約している電力会社に委託されたという業者から「分電盤の点検をする」と電話があった。翌日訪問してきて、点検後に「分電盤が古いので漏電する可能性もある。危険なので交換した方がいい」と言われた。漏電したら困ると思い、約23万円で契約してしまった。後で電力会社に確認すると「この業者は当社とは関係ない」と判明。
事例2:80代女性への16万円詐欺
東京都内で独り暮らしをする80代女性宅に、業者が「分電盤の無料点検をする」と突然来訪。「分電盤が古いのでこのままだと火災になる可能性がある。早く交換したほうがよい」と告げ、女性はその場で16万円の分電盤交換工事を契約させられた。
🛡️ 詐欺を見破る重要なポイント
✅ 正規の法定点検の特徴
- 事前に必ず書面で通知が届く
- 登録調査機関の調査員証を携帯
- 点検後にその場で契約勧誘はしない
- 4年に1回の頻度で実施
❌ 詐欺業者の特徴
- 突然の電話や訪問
- その場での契約を強要
- 不安を煽る説明
- 電力会社との関係を偽る
🚪 被害を防ぐための対策
1. 基本的な対応方針
- 突然の点検申し出は断る
- 電力会社に直接確認する
- その場では絶対に契約しない
- 家族や専門家に相談する時間を取る
2. 電話対応のコツ
- 「検討します」「家族と相談します」で対応
- 電力会社名を名乗られたら「後で直接電力会社に確認します」
- 電話を切ることを恐れない
3. 訪問者への対応
- ドアチェーンをかけたまま対応
- 身分証明書の提示を求める
- 調査員証の写真を撮らせてもらう
- 不審な場合は110番通報
📞 被害に遭った場合の対処法
即座に取るべき行動
- 契約書面を確認(クーリング・オフ可能期間をチェック)
- 消費生活センターに相談:消費者ホットライン「188(いやや!)」
- 警察への相談:詐欺の可能性があるため110番
- 電力会社への確認:業者の正当性を確認
クーリング・オフについて
- 8日間以内であれば無条件解約可能
- 書面での通知が必要
- 工事が始まっていても適用される場合あり
🔍 なぜ高齢者が狙われるのか
狙われやすい要因
- 在宅時間が長い
- 電気設備の知識が少ない
- 不安を感じやすい
- 即座に家族に相談できない
- 断ることが苦手
心理的な弱点を突く手法
- 「火災」「漏電」という恐怖心
- 「法律で決まっている」という権威性
- 「無料」という経済的メリット
- 「今だけ」という緊急性
📈 この詐欺が急増している背景
1. 従来の点検商法の転用
これまで「屋根の点検」「給湯器の点検」で使われていた手法が、分電盤という新しい分野に転用されています。多くの人にとって分電盤は馴染みが薄く、不安を煽りやすいターゲットとなっています。
2. コロナ禍による在宅時間の増加
在宅時間の長い高齢者をターゲットにしやすい環境が整ったことも、被害拡大の一因となっています。
3. 電気設備への関心の高まり
近年の災害報道により、電気設備の安全性への関心が高まっていることを悪用した手口です。
🏠 正しい分電盤のメンテナンス情報
実際の交換時期
- 一般的な目安:15~20年
- メーカー推奨:10~15年(多くは13年推奨)
- 法定耐用年数:15年
正規の点検・交換方法
- 電力会社による4年に1回の法定点検(無料)
- 交換が必要な場合は複数業者から見積もり
- 電気工事士資格を持つ業者に依頼
- 適正価格:10万円~20万円程度(機器・工事込み)
⚖️ 関連する法制度と罰則
詐欺罪の適用
- 刑法第246条詐欺罪:10年以下の懲役
- 実際に香川県では詐欺容疑で逮捕者も出ています
特定商取引法違反
- クーリング・オフ制度の適用
- 不実告知に対する罰則
- 迷惑勧誘に対する規制
🆘 相談窓口一覧
全国共通
- 消費者ホットライン:188(いやや!)
- 警察相談専用電話:#9110
緊急時
- 110番(詐欺被害の場合)
- 119番(実際に電気設備に異常がある場合)
📢 まとめ – 「疑う心」が最大の防御
ブレーカー点検詐欺は、前年比6倍を超える勢いで急拡大している深刻な問題です。特に70歳以上の高齢者の被害が8割を占める現状を考えると、家族や地域コミュニティ全体での見守りと情報共有が不可欠です。
「無料点検」「今すぐ交換が必要」「電力会社から来ました」 – これらのキーワードが出たら、まず疑ってかかることが重要です。
正規の電力会社による法定点検は必ず事前通知があり、その場での契約勧誘は一切ありません。少しでも不安を感じたら、一人で判断せず、必ず家族や消費生活センターに相談してください。
被害の拡大を防ぐため、この情報をぜひ周りの方々、特に高齢のご家族やご近所の方々と共有していただければと思います。
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